第160回臨時国会
平成16年8月4日
 

経済産業委員会

経済産業の基本施策に関する件

○松島委員  おはようございます。自民党の松島みどりでございます。
 質問に先立ちまして、さきの七月の新潟、福島、さらに福井の豪雨で被害に遭われた皆様方の一刻も早い御復活、そして、その後の中国・四国地方の長雨によりまして今苦しい生活をされている方々が、通常の生活に早く戻れますようにお祈り申し上げます。

 さて、今大臣からWTO交渉の結果の御報告がございました。このWTOの枠組み合意というのは、非常に喜ばしいことでございます。

 しかしながら、非農産品の中にも、この経済産業省が所管いたします工業製品の中にも、歴史的事情、地域事情など複雑な事情を抱えた皮革産業、革関連の産業がございます。既にメキシコとのFTA、自由貿易協定、これが合意されて、来年発効される。このことで、さらにまた、タイや韓国とFTAの交渉が進んでいる。そういったことによりまして、この皮革産業の産地はかなり大きな動揺をしているところでございます。どのように対策をとろうかということを非常に彼らは悩んでいるところでございます。

 今後、WTO交渉がまとまりますと、これは全世界が対象でございますから、イタリアやスペインといったような革製品の、ファッションの先進国、靴だとか、それからバッグ、ベルト、そういったようなものが、かなりたくさんの皮革製品が入ってくるということが、輸入が急増するということが考えられます。国内の零細な、地域的に固まっている皮革産業の地域は、大変な打撃、深刻な打撃を受けることだと予想されているところでございます。

 今後、貿易の自由化交渉におきまして、我が国にとりましては、農産品においてお米という非常に重要な特別の配慮を要するものがあるわけですけれども、工業製品におきましても、皮革産業につきまして、我が国、日本の独自の事情を踏まえました相当な配慮が必要だろうと私は考えております。この皮革産業を所管する、そして一方で貿易自由化を進めるためにこの交渉に当たられている大臣は、地域そして産業というものへの配慮を含めて今後どのようにこの問題に取り組んでいかれるか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

○中川国務大臣  今松島委員御指摘のように、非農産品交渉でございますが、いわゆるアクセス三分野と言われております農業、サービスそして農業以外の物品ということで、この中には林産物、水産物のような生物といいましょうか生き物から先端の工業製品まで、あらゆる分野が実はこの中に入っているわけでございまして、そして、日本としては、全体として、より貿易を進めていこうという方向と同時に、国益上守るべきものは守っていかなければならない。これは何も日本だけの問題ではございませんで、各国にいわゆるセンシティブ品目というものがあるわけでございます。まず、日本だけではないという認識を各国とも持つ必要があると思っております。

 そういう中で、我が国におきましてセンシティブ品目と言われるものの中には、林産物、水産物といったものと、松島委員御指摘そして御地元の重要産業であります皮革、履物といったものが我が国としての極めてセンシティブな品目だというふうに従来から認識をし、また交渉においてもそのことを念頭に置きながら、先週一週間、ジュネーブで交渉をしてきたところであります。

 皮革につきましては、日本の伝統的な大事な産業であり、また地域にとっての極めて重要な産業でもございますから、我々としては、こういうものに対して、守るべきものとしてきちっと守っていかなければならないというのが、私のみならず政府としての共通認識でございます。

 したがいまして、非農産品交渉におきましては、全体としてはみんなで貿易をより多角化、前進させようよ、ただし、それぞれの国々にはセンシティブ品目がありますから、柔軟性というものもまたセットにしなければなりませんねということで、その柔軟性の分野、つまり皮革製品等を視野に入れて、何でもかんでもすべてを極端に言えばゼロにするみたいな議論ではなくて、そういうセンシティブ品目に対する柔軟性、つまり、これはちょっと別ですよというようなものを今後の交渉の中で、あくまでもこれは枠組み合意でございますから、これから具体的なルールづくりに入ってまいりますので、今委員御指摘のようなところを十分念頭に入れて、これからの交渉に臨んでいきたいというふうに考えております。
○松島委員  非常に力強い方針を打ち出していただきまして安心するところでございますが、念のためにちょっとお伺いしたいんですが、センシティブ品目というのは、日本語で言いますとどういうような意味になりますでしょうか。

○中川国務大臣  要するに、センシティブというのは、松島委員の方が英語はできますけれども、いわゆるそれぞれの国にとって非常に大事な品目といいましょうか、例えば国内の今申し上げたような重要な産業、その重要というのは地域にとって重要であるとか国にとって歴史的な意味で非常に意味があるとか、守らなければいけない、単に貿易のアクセス改善の議論だけで関税を引き下げて、自由に、安ければいいだろう、世界じゅうから入ってくればいいだろうということに対しての一つのアンチテーゼと言うとちょっと言い過ぎかもしれませんけれども、ちょっと待てよ、日本についてはこういうものがあるじゃないかと。

 あるいは、これはウルグアイ・ラウンドのときに議論になりましたけれども、フランスでは映画という分野が、これは単にアメリカの映画がどっと入ってくるんじゃなくて、フランスの映画というのは文化そのものなんだから、これはWTOの外だといって、最後までAV、オーディオビジュアルの世界はウルグアイ・ラウンド交渉の外でフランスはアメリカと闘って頑張りました。

 あるいは、各国あると思います。そういうものの一つとして、守るべきもの、国内において守るべき産業、製品というものは、各国それぞれごく少数ありますね。そういう特別のものをお互い認識しながら全体としては進めていきましょうと。その守るべきものの中に皮革というものが入っているということでございます。
○松島委員  非常にわかりやすい説明、ありがとうございました。特別な配慮を必要として、経済合理性による交渉の中でちょっと待ったをかける、外枠に置かなきゃいけないテーマという意味だと解釈いたしました。

 この皮革産業というのは、もちろん日本の中小零細企業、どの産業もどの業種も大変厳しい状況には置かれておりますが、この皮革産業の地域というのは、なかなかほかの産業に転換しにくい、そしてまた、その跡の土地を売却したり再利用というのが結構難しいところを含んでおりますので、そのような御配慮、まことにありがたいと思う次第でございます。

 次、二番目に、今回の豪雨におきまして被災したそういった企業に対する支援策について伺いたいと思います。

 まず第一義的には、家を流された、床上浸水した、寝るところも大変だ、そういったことから始まるわけですけれども、同時に、サラリーマンならそれが復旧すればそれで終わりですが、事業を営んでおられる方々、特に、例えば新潟ですと見附のニット製品だとか三条の刃物、そして福井県は眼鏡とか、それぞれ特徴のある工業製品を抱えているところでございます。それ以外にも、例えば中小の商店街も水浸しになって商品が流れちゃったり使えなくなったり、そういったところがかなりあると思うんですが、そういった中小企業、製造業及び商業でございますが、そしてまた機械が土砂に埋まって使用できなくなったりしているケースもあります。そういったものに対する支援策を経済産業省、中小企業庁としてどういうようにとっていくのかということをお伺いしたいと思っております。

 そしてまた、融資の制度があるとしたら、その融資の制度は、金利や例えば据置期間その他について、どのように優遇された、配慮のされている制度であるかということも一緒に教えていただきたいと思います。
○望月政府参考人  お答えいたします。
 このたびの新潟県及び福井県での豪雨災害における被災中小企業者に対する復旧支援策といたしましては、新潟県及び福井県での災害救助法の適用を受けまして、次の三点の措置を中心に講ずることといたしたところでございます。

 まず、新潟県及び福井県における政府系中小企業金融機関の各支店、両県の信用保証協会、主要商工会議所、商工会連合会等に特別相談窓口を設置いたしまして、関連中小企業者の相談に応ずる体制を整えております。また、政府系中小企業金融機関におきましては、一般貸し付けとは別枠で貸し付ける災害復旧貸付制度を適用いたしております。お尋ねの金利については、現時点では基準金利一・八%の金利でございます。それから、政府系中小企業金融機関及び信用保証協会に対して、返済猶予などの既往債務の条件変更などにつきまして、被災中小企業者の実情に応じた対応を行うよう指示をしているところでございます。

 それからまた、先生お尋ねございました工場等の復旧に必要な代替工作機械などの優先的な融通につきまして、最大限の便宜を図るよう、関係の工作機械、産業機械などの五十団体に協力依頼を行いました。

 さらに、被災下請企業対策といたしまして、納期おくれなど親事業者との取引に関する問題につきまして、下請企業からの相談に適切に応ずることなどを新潟県及び福井県の下請企業振興協会に要請をいたしました。また、特に繊維関連では、日本繊維産業連盟に対し、被災下請企業などから相談、協力要請等があった場合には積極的に対応されるよう要請をしているところでございます。

 今後とも、地元自治体と密接に連絡をとりながら、被災中小企業の復旧支援に万全を期してまいりたいと考えているところでございます。
○松島委員  これは今、何件ぐらいが対象になるというふうに考えられているかということと、もう一つは、今回の四国と中国地方の水害に対しては同じような対策をとるのかどうか、もう決めているかどうかということを教えてください。

○望月政府参考人  相談窓口には、既に新潟と福井にそれぞれ、ちょっと今あれでございますけれども、三百数十件とか、あるいは福井の方で百数十件の相談が参っております。具体的には、融資案件、融資のあっせんなどの相談が多いわけでございますけれども、これにつきましても、現実に、ちょっと今件数はあれですけれども、数十件だと思いましたが、融資の実行が行われているところでございます。

 それから、四国と中国の件でございますけれども、今回の四国と中国の水害につきましては、現時点で、今、防災の中心の担当でございます内閣府と情報交換を行いながら被害状況の把握をしているところでございまして、その状況に応じまして適切な対応をとっていきたいという状況にございます。
○松島委員  今かなり多くの問い合わせ、相談が来ているということですけれども、こういったことは特にスピーディーに対応してあげるということが一番安心材料になると思いますので。

 念のため申し上げますけれども、例えばどれぐらいの被害をこうむったかとかいろいろ書類をたくさん出させる、これは、てんやわんやで大変なときに書類をいっぱい書くというのは物すごく負担になりますので、できるだけ簡便に、迅速に対応していただきたい、かように思います。

 今、こういった場合の被災企業にも起こり得ることで、別のことで、中小企業の問題でお伺いしたいと思っております。

 今、大企業は随分景気はよくなっておりますけれども、中小零細企業で破綻するところは相変わらずふえております。この破綻するときに、小さな会社の場合は一々、例えば裁判所に破産の申告なんかしない、自分たちでもう勝手に仕事をやめちゃう、廃業したりあるいは夜逃げ、夜逃げというのは俗な言い方でございますけれども、どこかへ行ってしまう、そういうケースが多々ございます。不幸な話でございますが、ひょっとしたら、例えば豪雨に遭われたところでも、お金を借りて復旧するぐらいだったらもうこのまま仕事をやめちゃおうというところも出てくるかもしれません。そういったことに関連しての質問でございます。

 今回、独立行政法人になりました中小企業基盤整備機構というところがございまして、ここが中小企業倒産防止共済制度というのを持っております。この制度は、中小企業の連鎖倒産を防ぐために、取引先が倒産したら積み立てた掛金総額の十倍の範囲内で被害額相当の共済金を貸してもらえる、そういう制度でございます。しかしながら、この倒産の定義が問題だと私は感じております。

 倒産というのを二種類定義しておりまして、一つが、破産、再生手続開始、更生手続開始、整理開始または特別清算開始の申し立てなどがなされた場合。二つ目として、金融機関から取引停止処分を受けた場合。これはいわゆる二回不渡りを出した場合でございます。こういうふうに定義をしております。実際には、先ほど私申し上げましたように、債務超過で廃業したり夜逃げをしたりといったことで実質的に倒産状態になって、取引先が代金を回収できないという場合がしばしばございます。

 私の知り合いでも、商品を納めた取引先が行き詰まって仕事をやめてしまって代金を払ってくれない、一千万円ひっかかっちゃった。それで中小企業基盤整備機構の方に相談に行ったら、相手企業が法的手続か銀行の取引停止処分を受けることが前提で、そうでない場合は基本的にだめだと。何とかしようと思ったら、裁判所にこの相手の企業の破産の申し立てをしなさい、それで裁判所が受理したらお金を出しますと言われました。

 破産について、債権者申し立ての制度はありますけれども、その会社が支払い不能になっている、破産しているということを証明しなきゃいけないので結構大変なものでございます。弁護士費用もかかります。これは何とかならないでしょうかということが一つ質問です。

 もう一つ、どうしてもそういうような、何ともしようがないんだったら、せめてこういうパンフレットに、これは総合事業団のときのパンフレットなんですけれども、ほとんどそのことはちっちゃなちっちゃな字でしか破産とはこうこうだと書いてありません。私たち個人が損害保険とか生命保険に入るときでも、何かちっちゃい字で重要事項が書いてあったりしたら非常に問題なんですけれども、このあたりのことをきちっとしていただきたいと思うんですが、いかがでしょう。
○望月政府参考人  お答えいたします。
 中小企業の倒産防止共済制度については、松島先生今御説明になったとおりでございますが、中小企業倒産防止共済法に基づいて現時点で共済金の貸し付けを行う事由といたしましては、破産等の法的整理の申し立てと手形の不渡りによる銀行取引停止処分の二つということが法定されてございます。したがいまして、夜逃げとか今先生おっしゃいました、我々、内整理とか言っておりますけれども、そういった事実上の整理は共済事由にはなってございません。

 この問題は、共済でございますので、掛金をかけておられる中小企業者の皆様方で負担をしている制度でございますので、ある意味では、この制度の存立を確実にするためには、共済事由に該当するかどうかということをかなり客観的に把握するということが前提ではないかというふうに思っております。したがいまして、法的で明確な事由に限っているというのは、現時点での共済制度の前提になっているわけでございます。

 もし、これをもう少し弾力的にということになりますと、場合によっては制度の抜本的な見直しをして、リスクが高まるわけでございますので、共済の掛金なども考え直さなければ成立しないということになる可能性もあるわけでございまして、これはある意味では、共済制度として関係者の合意の中でどういうものを助け合うかということの共通の前提の上に立たなければいけないのかというふうに思っております。支払い事由だけを弾力的にするということは、制度の維持上はなかなか困難なところかというふうに私どもとしては現時点で考えているところでございます。

 それから、他方、先生おっしゃいましたこのパンフレットにつきましては、これは当委員会でもかねてから中小企業関係施策についてのパンフレットがわかりにくいという御指摘は私も何回か受けておりまして、その都度お見せいただいたパンフレットについて点検をしますと、おっしゃるとおりで、今先生おっしゃいました破産のところについても、私も眼鏡がないと見えないような小さい字で書いてあるということでございます。こういう御指摘については、私どもとしても真摯に受けとめながら、できる限りわかりやすく情報を伝えるためのパンフレットということを考えまして、今見直しを行っているところでございますので、今後ともよろしく御指導賜りたいと思います。
○松島委員  これは実際にはどこが窓口になるかというと、銀行や信用金庫、金融機関で申し込むことになっている。金融機関が、おたくもちゃんと入っておきなさいよと、取引先がつぶれちゃったら困るから金融機関も言うわけですけれども、やはり金融機関に対して、よくそれを理解させるようにしないと、幾らパンフレットに書いたって、こんなパンフレットなんか全部読んで共済に入る人は余りいませんから、それはぜひ心がけていただきたい。

 あと、法律の改正については、私ども議員の立場からも仲間に検討を働きかけていきたいなと思っております。
 以上で質問を終わります。どうもありがとうございました。