挨拶
 
2006年9月11日

ひがしん「中考懇」で挨拶。

 皆さんこんばんは、ご紹介いただきました松島みどりでございます。
昨年、この中考懇の大会に出させていただいた時は、自分の選挙の最後の金曜日の夜で、私は真っ黒に日焼けしておりました。当選後、墨田区・荒川区の皆さん方から「よくあの日来たね」とか「いやあ、あの日来たから当選したんだよ」など、いろいろとお褒めいただきました。どうもありがとうございました。私もこの中考懇、初めて御縁をもたせていただいた時には、まだバッジをつけておりませんでしたけれども、皆様のお力を頂きまして、無事に国会議員7年目を迎えることができました。

 今、ご紹介がありましたように、自民党の経済産業部会長という仕事をしております。これは、例えば経済産業省が中小企業向けの金融など政策を立てて、法律を国会に提出したり、ものづくり白書や中小企業白書を出したりする、そういった時は必ず自民党の中で事前に審査をします。私ども自民党の経済産業省部会で、「これはちょっとおかしいじゃないか」「現場の声を反映してないじゃないか」「もうちょっとこういうふうに変えなきゃだめじゃないか」という注文をつけまして、役所がそれをもとに原案を修正します。それを党の経済産業部会で了承し、私が、自民党の政策審議会や総務会で説明して了承を得、与党として責任を持って送り出すわけです。そういうような役回りをさせて頂いております。

 私は自民党の経済産業部会長になりまして、日本経済が外国に負けない、日本経済が国際競争に打ち勝って力を持ちつづけること、そして中小企業の町の出身の議員として中小企業の皆さんが仕事を続けられる環境、胸を張ってそして経済的にもやっていける環境を作りたいという思いでやってまいりました。残念ながら経済産業部会長再任は認められていないので、私のこの立場も9月で終わりですけれども、中小企業対策として、これまでに私が部会長として、あるいは衆議院経済産業委員会の委員として、どういうことをやってきたのか、そして、皆様に覚えておいていただくと得をするかもしれないお話をさせていただきます。

 皆さん、「ひがしん」のお取引の方々でいらっしゃるわけですけれども、金融機関からお金を借りる時に東京都の信用保証協会に保証をつけてもらう、これが一般に多いわけでございます。保証協会に保証をつけてもらう際、連帯保証人を出せと言われることが常でした。悲しいことに、経済的なことを苦にして自殺される方、あるいは、資金繰りがつかなくなって、どんどん変な所から高利のお金を借りて借金が膨らんでしまって大変になる方、あるいは保証人になったがゆえに大変な思いをされる方がたくさんいらっしゃいます。

 それで、信用保証協会の保証を得るのに保証人が必要などという馬鹿な事をやめさせたい。私は初当選以来ずっと、このことに取り組んでまいりまして、新しく保証を受けられた方はご存知かと思いますが、今年の4月からすでに保証人が不要になっております。経営者ご本人には保証してもらうけれども、本人以外の保証、例えば、親戚や取引先などの方を保証人に立てろということは、この4月からやめました。

 ただ、例外といたしまして、社長さんが90歳くらいのご高齢で入院されていて、副社長である60歳くらいの息子さんが実質的に経営しているというような場合は、その副社長さんに保証人になってもらうわけですが、まったく関係の無い保証人はやめることになりました。以前、あくどいと思いましたのは、保証協会から保証を受けるのに「本人じゃ、もう目一杯だからダメだ。おたくには、28歳の公務員の息子がいるじゃないか。ボーナスもしっかり貰うんだろう。息子を保証人にしろ」と求められたというのを聞きました。ひどい話だと思ったのですが、このように会社の経営に関係の無い人は保証人として求めないということを、保証協会は今年4月よりスタートいたしました。

 もう一つ、これは経済合理性。2人の先生がたがおっしゃいました経済合理性と、平等とのかね合いが非常に難しいと思います。その中で、非常に安定していて、信用力もある会社に対しては保証料率を引き下げる。一方、今のままの体制だと保証を受けられないけれども、信用保証協会の保証を受けたいという人には、保証料を少し高くするけれども保証を受けられるようにする、いわゆる保証料率弾力化もこの4月に始めました。今までは、平均1.53%だったのですが、その幅を持たせて、経営状態のいい会社は0.5%の保証料率、経営が少し不安だけれども、何とか保証を受けたいという人は2.2%というように幅を持たせることにしました。ただ、私はこれを決める時に、保証料率に幅を持たせるというと、いじめられるところの方が多いのではないか、中小企業というよりも私の町は小規模事業の町だから、経済産業省、中小企業庁が従業員100人くらいの会社とか、200人くらいの会社のことを中小企業と言うことが多いのですが、とんでもない話で、私の町は、従業員が5人以下とか10人以下の企業が大半ですから、そういうところをどうしてくれるんだという事をかなり申しまして、例外をつくってもらいました。

 先ほど_橋会長のお話を伺いまして、ここにいらっしゃる多くの方々が製造業で従業員20人以下、卸小売サービス業で5人以下のいわゆる小企業の方ではないかと思うのですけれども、こうした方々が1250万円までの保証を受ける場合は今まで通りにする。2%まで引き上げるというような厳しいことはしないで1.35%の保証料率のままに据え置くというように、とにかく小さいところは例外として、大きめの中小企業と正真正銘の小さな中小企業と分けてくださいということを押し通しました。

 また、保証協会が部分保証に切り替えるという記事が日経新聞などに大きく載ると、私の地元で中小企業の方や区議会議員の先生から心配の電話がかかってくることがあります。これはどういうことかというと、今、信用金庫さんからお金を借りる時に東京都信用保証協会の保証がつけば、もし、返済できなかった場合、まるごと全部信用保証協会が被る、信用金庫は被らなくて済む。これを部分保証に変えるとどうなるのかというと、金融機関にリスクを取ってください、信用保証協会は丸ごと被ったりはしませんよ、ということですし、金融機関としては、信金でも都銀でも、貸し出すのに少し躊躇してしまう可能性が生じる。金融機関もそうそう無茶なことはできない。みどころのある会社だから貸してあげたい、でも今までのように信用保証協会が100%保証してくれればよいが、そうでなければ少し恐いな、ということです。

 経済産業省は、学者先生や役人が集まって部分保証に移行することを進めておりましたが、新聞に出るたびに悲鳴があがり、全国信用金庫協会の方からも私にぜひ会いたいと言って来られ、「これを何とかして欲しい、信金さんが相手にしている本当に小さな、先ほど申しました製造業で従業員20人以下、卸小売で5人以下のような小さい所が少し保証してもらう程度は、丸ごと信用保証協会が被ってください、信金にそれを一部頼むなどと責任を取らせないでください、部会長とにかくお願いいたします」と、何度も言われました。中小企業の皆さんの一人一人のことを考えると、これはやっぱり大変だなと思い、私は、全体的に8割は信用保証協会が持って、2割は金融機関がリスクを負うという政策は、方針としてはよいかもしれないけれど、小口に当てはめては絶対いけない、ということを中小企業庁長官以下何度も呼びまして、ねじ込みました。

 その結果、来年10月から制度が変わるのですが、製造業20人以下、卸小売5人以下の企業の方の保証残高が、これまでの保証額と合わせて1250万円以下の場合は、これまで通り、信用保証協会が面倒をみるということを決めました。ちょっと自慢話としてご報告をさせていただきます。

 皆さん方は仕事が順調にいっていらっしゃいまして、例えば再チャレンジなどということを考えないほうがよいのですけれども、世の中どんなことがあるか判りません。そこで、事業再生とか再チャレンジを支援する、これも信用保証の面で支援することを二つ考えております。

 一つは今年の1月にスタートしたのですが、これまで信用保証協会が最終的に債権を持っている場合は、どうしても債権を放棄しない。経済産業省の指導というか通達が出ておりまして、政府が補填しているのだから被っては困るということで、信用保証協会は債権を放棄しませんでした。大銀行がダイエー相手に、あるいは大手ゼネコン相手に何億円の債権放棄なんていうことが新聞に載っていますが、皆さん方が信用保証協会の保証を受けて、銀行や信用金庫から借りた時、万一の場合にも、信用保証協会は債権放棄をしてくれませんでした。

 それが引っかかって、会社をもう一度やりなおすことが出来ないというケースが多々ありました。そのため、今年1月から、再生協議会が中に入って再生計画をきっちり作って、もう一度会社を立て直すという時は、信用保証協会も自分の債権を放棄する、1000万、2000万、3000万という債権を放棄して、イチからやり直すチャンスを与えてくれるようになりました。

 もう一つは、再チャレンジについてです。今回の自民党総裁選で安倍総裁候補を担いでいるグループが幾つかある中にも再チャレンジ議連というのがあり、再チャレンジという言葉が、流行のようになってきております。従来、一度事業が倒産したり破産したり廃業したりして再チャレンジする場合には、信用保証協会で門前払いされてお金は借りられない、そして信用保証はつきませんでした。これでは再チャレンジ出来ないということで、来年度からは、一度だめになっても、もう一度やる人のためにかえって優遇的な保証料率で門戸を開く制度を来年度よりスタートいたします。

 最近、安倍晋三さんが話している十八番(おはこ)が一つございます。彼は普段は専用の車に乗っているのですが、たまたま車の都合がつかなかったためタクシーに乗ったときの話です。タクシーに乗ると運転手さんが「安倍さんですね」と言ったので、「そうです、よろしくお願いします」と言った。6月頃ですから総裁選に出るとは言っていないけれど、噂は立っている、そういう時期でした。すると運転手さんが「私は2年前に繊維関係の商売を廃業した、倒産した」と言われた。安倍さんは、小泉さんの構造改革に対する批判など、いろいろなことで怒られているから、ドキッとして「いやあ、皆さんによくお叱りを受けて、特にタクシーの運転手さんは今、手取りが低いということで、あちこちでお叱りを受けています」と言ったところ、その年輩の運転手さんは「自分は規制緩和のおかげでタクシーの運転手になれた、そういう風に前向きに考えている」と言われ、ほっとした。さらにその運転手さん曰く「自分は、今、息子もタクシーの運転手で一緒に住んでいて不満はないけれども、でもいつかまた新しく仕事を起こしたい、繊維では失敗したけれど、もう一度ほかの仕事でやってみたい」と。そういう話を聞いて、彼もうれしくなって思わずチップをはずんだという話をしていました。ちょっと出来すぎの話かなと思ったのですが、その運転手さんは栃木県足利市の出身で、茂木さん(茂木敏充元IT・科学技術担当大臣)の後援会に入っていたと言っていたらしいので、本当の話だなと思いました。そのように再チャレンジばやりなのですが、しかし私は再チャレンジしなくて済むように、まず、中小企業の皆さんが潰れないような政策を進めてまいりたいと思っています。一度倒産するということは、本人も家族も大変だし、取引先にも迷惑をかける、そのような事態を未然に防ぐべきだと考えています。

 先ほど事業承継の税制について高橋会長からもお言葉がございました。これは私が当選一回の時からずっと取り組んでいるテーマです。私自身はサラリーマンの子供ですが、サラリーマンの親が子供に立派な家を残せなくてもいいと思っております。しかし事業を経営していらっしゃる方々は、その事業が続かないと従業員も困るし、日本経済としても困る。

 ところが、今、皆さんがた、上場していない会社のオーナーさんが事業承継する際、非上場の株式にまで高い値段を付けられ、相続税を払えと言われる。株式を手放すわけにはいかないし、非上場の株式なんて誰も買ってくれないから、しかたがないので借金をして相続税を払う。それが一般的でございます。これじゃあ、やっていけないとずっと発言してきました。

 今年の12月の自民党の税制調査会で事業承継について要求する項目として、春に自民党経産部会で取りまとめ、春開かれた党税調に提出したことがございます。相続した非上場の株式を売らないうちは、子供が自社株を持って経営を続けている間は相続税をかけない。株式を売り渡し、あるいは会社をやめ、会社が保有している土地も売ってしまうような場合は、そこで儲かったら相続税をかければいいですけれども、非上場の株式を持ったまま、こつこつと仕事を続けている場合には、相続税をかけない。こういう内容のことをまとめまして、10月に次の部会長にバトンタッチする時に申し送りして、私自身も年末の党税調にそういう形で臨みたいと思っております。

 もう一つ事業承継に当たりまして、事業承継の場合だけ特典を持たせるよう、党税調で求めてまいります。現在、生前贈与は一般的にも随分やりやすくなり、65歳以上の親が20歳以上の子供に生前贈与する場合は相続時清算課税制度といって、2500万円までは生きている間に譲っておいても贈与税がかかりません。そして、いざ相続が発生した時に、つまり、親が亡くなった時に全部の財産とあわせて清算するという制度で、いま100人亡くなって相続税がかかるのは4.7人だけですから、よほどのお金持ちでなければ、配偶者や子供に相続税がかかりません。それで、贈与税のほうが高いので効果が出ております。これは高齢者の金融資産を若い人たちにバトンタッチすることによって、子供たちにお金を使ってもらい、あるいはまた、子供が家を建てたり、新しい事業を起こしたりしてもらおうというわけです。

 これを事業承継する場合に限り、1000万円上乗せして、3500万円まで広げる。ただ、事業承継ですから、子供さんがすでに会社の役員になっていて、30歳でも35歳でもいいのですが、親と一緒に働いていて、周りもみんな「ああ、うちの専務が仕事を継ぐのだな」というふうにわかっている、そういう人に譲る時には生前贈与をもっと上乗せして無税にすべきであると、私は党経済産業部会でまとめました。この線で、今年の年末の税調で戦っていきたいと思っております。今やっている仕事を続けていけることが重要だと思っております。

 最後にもう一つだけ申し上げますと、皆さん方の技術、中小企業が持っている技術は日本の誇りであります。この技術に対する支援のため、6月に終わった通常国会で、ものづくり基盤技術高度化法を成立させました。昔は自動車とか家電の組み立てなどの大企業が発注者で、そして中小の部品メーカーが系列になっていたけれど、だんだんと系列が緩んで、大企業に部品を納めるにはどんなものを作ったら喜ばれるか、ちゃんと使ってもらえるか、わからなくなってきた。だからそういう大企業のニーズに沿った、それを見つけるための手伝いをしよう、なおかつ、その中で良い研究開発に対しては補助をしよう、ということをこの法律で決めました。分野が17技術あります。鍍金とか金型とか熱処理、製作加工、プレス加工、そして繊維の織り染め、そういった17の技術の種類があるのですが、詳しくは経済産業省のホームページを見ていただくと、技術の指針が載っております。

 既にこの6月に申し込みを開始して、第一弾は399件、全国で認定されました。認定されると、どういう良いことがあるかというと、信用保証協会からの保証枠が今まで8千万円だったのがさらに別枠で8千万円保証枠が貰える。また、特許申請料が半額になる。いままで20万円かかっていたのが10万円になり、特許をとった後の特許を維持するためのお金、つまり特許料が、中小企業ですと、もともと3年間は一般の半額の6千円なのですが、この法律の適用となると6年間半額にする。このように、いろいろとメリットを与えられます。

 この399件認定されたうち、従業員50人以下の会社が52パーセント、特に従業員5人以下が9パーセント、6人から10人が8パーセントと、小さな会社ががんばっております。これは1年中通して申し込みを受け付けておりまして、新しく様々な分野が加わることになっておりますので、興味のある方はぜひ調べていただき、我こそはと思う方、そしてこんな技術はどうだろうかと思った方はメールで経済産業省の方へ問い合わせをするなどしていただければと思っております。

 さらにお金も出るのです。認定された中で第二次審査と申しますか、もう一度申し込んでいただくのですが、その中で特に技術が優れている場合、今年度は初年度ですから70社程度、総額64億円の予算の中で1社あたり6000万円から7000万円くらい貰えて、それが国の委託事業になりますから、設備とか人件費、研究開発にあてられる。これは1社でやってもいいし、どこかの会社と組んでもいい、中小企業同士でもいいし大企業と組んでもいい。墨田区は早稲田大学との関係を熱心に進めておりますが、大学と手を結んでもこれは認められます。

 そういう形で技術を後押ししていく、さらに特許庁、関心のある方はぜひ特許庁のホームページを見て下さい。最近、特許庁のサービスがよくなりまして、夜8時まで電話で質問を受け付けるとか、あるいは、特許を申請したけれども、待ち時間が平均26ケ月もあるため、そのうちにもういいと取り下げると、今年の8月から1年間に限り申請時にかかった費用を全額お返しします、という制度を設けました。また、中小企業と個人に限り、この26ケ月の待ち時間を短縮するために、割り込み制度といいましょうか、病院における急患制度みたいなものですが、これを6ケ月に短縮するという制度を設けております。

 よもやま、お話させていただきましたけれども、日本は、ものづくり、額に汗して働くことに誇りを持っている、それが日本の救いだと私は思っております。イギリスで野上大使から聞いた話ですが、東ヨーロッパの国々がEUに加わり、いろいろな国の人たちがイギリスに労働者として入ってきている。ここ3年間で48万人のポーランド人がイギリスに入ってきた。仕事にありついているのだろうかと尋ねたら、「イギリス人は給料が高くても、きつい危険な仕事には就かない。例えば、高圧線の整備の仕事、日本円に換算すると年収1600万円にもなるのにイギリス人はやりたがらないので、ポーランド人がやっている」というのです。このように労働を嫌うようになったら、その国はだめになるのではないか。日本では、今の中高年、私より上の世代の方々から、「中学を卒業して見習いから入って一生懸命がんばって、独立してこの工場を持った、この店を持った」という話をよく伺います。これからの若い人達にもこういう気概を引き継いでいただきたい、そのような状況を作るのが、私たち政治家がなすべき仕事ではないかと思っております。

ご静聴ありがとうございました。